ループイフダンとはアイネット証券が提供するFXの自動トレードサービスである。
通貨ペア・値幅・売り買い・ポジション保有数を設定するのみで、システムが自動でトレードを行ってくれる。
アイネット証券ではデモトレードサービスが提供されているため、自己資金を使わずにループイフダンでの運用を試すことができる。
この記事ではループイフダンのメリット・デメリットと、実際にデモトレードを行った結果をまとめる。
ループイフダンとは
ループイフダンとはアイネット証券が提供するFXの自動トレードサービスであり、ユーザは通貨ペア・値幅・売り買い・ポジショウン保有数を設定するのみで、トレードが可能である。
例えば、「米ドル/円 B100」を例にして考える。B100とは値幅100 pips(100銭:1円)ごとに買い(Buy)ポジションを取ることを示している。
ちなみに売り(Sell)ポジションを選択した場合はS100のようになる。B100の設定では米ドル/円の価格が100pips変動するごとに買いポジションを取り、各ポジションから100 pips分値上がりした場合に利益確定する。
図で表すと以下のようになる。
米ドル/円の為替レートが100pips(1円)変化するごとに買いポジションを保有し、100 pips増加するごとに売却注文を行なっていることがわかる。
買いポジションは設定したポジション数まで保有数を増やしつづける。
最大保有ポジション数に達した後は、「損切りあり」設定の場合は一番古い買いポジションを損切りして新たな買いポジションを取り、「損切りなし」設定の場合は既存の買いポジションが売却されるまで新たな買いポジションを取らない。
ループイフダンのメリット
レンジ相場で無駄なく利益を上げることができる
為替レートは基本的にはレンジ相場である。上昇トレンド・下降トレンドを描いていたとしても、部分的にはレンジ相場のように上がり下がりを繰り返しながら上昇(下降)して行く場合がほとんどである。
先の章で挙げた図のように、米ドル/円の為替レートが1ドル100円(11/1)から101円(11/6)に上昇した場合を考える。
自身でトレードを行う裁量トレードの場合、1ドル100円での買いポジションの利益確定が可能になるのは、1ドル101円になった11/6であるが、ループイフダン(B100)では11/1から11/6の間に4回の利益確定を行い、裁量トレードの4倍の利益を上げていることができる。
感情に左右されずにトレードができる
人間は不合理な生き物であるため、感情に流されて合理的な判断ができずに損をしてしまうことがある。
しかし、ループイフダンは全自動のシステムトレードであるため、人間の感情が介入する余地はない。
ループイフダンの開始時にリスクを管理した設定をしさえすれば、後は全自動で資金が増えていくのみである。
ループイフダンのデメリット
含み損が増加する
ループイフダンはアルゴリズムの性質上、為替レートが下落(上昇)した際にさらに買い(売り)ポジションを増やすため、為替レートがループイフダン開始時の予想に反して動いた際には含み損が拡大することになる。
もちろん、各ポジションは為替レートが反発(反落)した際には利益確定注文により解消されていくが、含み損が精神的な負担になる場合もある。
特に、スワップポイントを支払うポジションを保有している際には、ポジションの保有期間が増加するたびに支払うスワップポイントが増えることとなる。
スワップポイントとは、通貨ごとの金利の差を調整するために支払われる(支払う)ものである。
例えば、金利の低い日本円を売って金利の高い米ドルを購入した場合にはスワップポイントを受け取ることになるが、日本円を買って米ドルを売る場合にはスワップポイントを支払うことになる。
途中で設定変更ができない
ループイフダンは一度開始すると設定を変更することはできない。
そのため、途中から設定を変更したくなった場合は、現在稼働しているループイフダンを停止して、新たにループイフダンを設定し直す必要がある。
また、既存の買い(売り)ポジションの決済も手動で行う必要があるため、資金管理やポジション管理を自身で行わなければいけないという手間が発生する。
デモトレードの結果
2019年7月のデモトレード結果
今回は以下の条件で2019年7月の1ヶ月間デモトレードを行なった。
- 米ドル/円 B15
- 米ドル/円 B50
- 豪ドル/円 B20
- 豪ドル/円 B80
2019年7月の米ドル/円と豪ドル/円の為替レートはそれぞれ以下である。


約定回数 | 売却利益 | スワップポイント | 総リターン | |
---|---|---|---|---|
米ドル/円 B15 | 38回 | 5,657円 | 864円 | 6,521円 |
米ドル/円 B50 | 5回 | 2,500円 | 240円 | 2,740円 |
豪ドル/円 B20 | 15回 | 2,895円 | 102円 | 2,997円 |
豪ドル/円 B80 | 0回 | 0円 | 0円 | 0円 |
2019年7月の1ヶ月間ループイフダンを運用して得られたリターンは以上の表の通りであるが、重要なのは投資した資金に対して何%の利益を上げられたかということである。
そこで、為替レート下落時の強制ロスカットを考慮した必要資金を考えることで、上記のリターンの月利を算出してみる。
ループイフダンのデメリットの項目でも述べたように、為替レートが意図に反する動きをし続けた場合は含み損が拡大するため、含み損に耐えられる資金を口座に入金しておく必要がある。
そもそも強制ロスカットとは
ループイフダンは信用取引である。FXにより外貨を購入する際には最低単位が決まっており、ループイフダンでは1,000通貨から購入可能である。
そのため、1ドル108円の時に米ドルを1,000通貨購入する際には108,000円必要であるが、ループイフダンでは証拠金の4,500円で購入可能である。
このように信用取引では実際に必要な金額よりも少ない金額で取引が可能である。しかし、含み損が拡大して証拠金維持率が100%以下になった場合は、相場から強制退場させられてしまう(強制ロスカット)。
証拠金維持率とは、取引証拠金に対する預かり資産の評価額の割合であり、預かり資産/必要証拠金×100%である。
つまり、預かり資産の評価額が必要証拠金を下回った場合は追証と呼ばれる追加の入金が必要になり、追証の入金が不可の場合は強制ロスカットとなる。
強制ロスカットを考慮した必要資金とリターン
強制ロスカットを避ける方法は、
①あらかじめ相場下落に耐えられる資金を口座に入金しておくこと、
②証拠金維持率が低下した際に追証を入金すること
の2つである
①に関して必要な証拠金はアイネット証券のホームページに目安賃金表として掲載されている。
ワーストケースとして、今後リーマンショック級の円高が訪れた際に米ドル/円は1ドル70円、豪ドル/円は1ドル60円まで下落すると考える。
現在の為替レートは米ドルは108円前後、豪ドルは74円前後であるため、リーマンショック級の金融恐慌において米ドルは40ドル、豪ドルは15ドル程度下落する可能性がある。
アイネット証券の目安賃金表を参照すると、2019年11月8日での必要資金とリターンは以下のようになる。
2019年7月の1ヶ月間では「豪ドル/円 B80」は利益を上げることができなかったため、対象外とする。
1,000通貨あたりの証拠金 | 想定下落レンジ | 必要資金 | 月利 | 年利 | |
---|---|---|---|---|---|
米ドル/円 B15 | 4,500円 | 40円 | 6,568,200円 | 0.1% | 1.2% |
米ドル/円 B50 | 4,500円 | 40円 | 2,025,000円 | 0.14% | 1.6% |
豪ドル/円 B20 | 3,200円 | 15円 | 828,400円 | 0.36% | 4.3% |
以上より、資金効率は「豪ドル/円 B20」の4.3%が最も良いという結果になった。
米ドルよりも豪ドルの方が値動きの幅が小さいためリーマンショック級の金融恐慌に耐えられるほどの資金を確保しておくとなると、多くの資金が必要となるため資金効率が低下する。
必要資金が少ない豪ドルにおいても80万円ほどの資金を口座に入金しておく必要があるという結果になったが、目安賃金表に記載されている必要証拠金は想定レンジ目一杯ポジションを保有する場合を想定しているため、保有ポジション数を減らすことで必要証拠金は減らすことができる。
リーマンショック級の金融恐慌が起きた際にはループイフダンを停止させることで、保有ポジションと含み損の拡大を防ぐことができる。
実際に自己資金を投下してループイフダンを運用する際にはより現実的な設定を模索する必要がある。
まとめ
アイネット証券が提供する自動システムトレード、ループイフダンの概要と1ヶ月間のデモトレード結果をまとめた。
全自動のシステムトレードでは感情に左右されることなくトレードが可能であり、アルゴリズムの特性上レンジ相場において効率良く利益を上げることができる。
特に、豪ドル/円の買いポジションを設定することで、スワップポイントを稼ぎつつ少ない資金で効率良く利益を上げることができる。
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