DX関連銘柄としてKYCOMホールディングス <9685>が12月3日、12月4日にストップ高を記録した。
DXとはデジタルトランスフォーメーションの略であり、企業や自治体のシステム管理コストの減少に向けて、現在の老朽化システムを最新のシステムに一新するという動きである。
経済産業省が推し進める政策であるということもあり、株式市場ではDX関連銘柄の物色が始まった。
この記事では、KYCOMホールディングスの事業の概要とDXに関する調査結果をまとめる。
KYCOMホールディングスとは
KYCOMホールディングスは1968年に福井県で設立し、インターネット・システム関連分野を中心に官公庁・自治体および民間企業向けにコンピュータソフトウェア開発やシステム運用サービスを50年に渡り提供してきた。
事業内容はシステム開発がメインではあるが、不動産事業やレンタカー事業まで展開している。
KYCOMホールディングスグループの中核となる共同コンピュータ株式会社は東京・福井にオフィスを構え、官公庁や自治体向けの戸籍情報管理システムや住民情報管理システムなどを開発している。
官公庁・自治体向けシステム以外では、大学・図書館向けの蔵書管理システム、民間企業向けの工程管理システム、医療分野向けの電子カルテ管理システムなど幅広く事業を展開している。
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
デジタルトランスフォーメーション(DX: Digital Transformation)とは、IT技術やデジタル技術を用いて従来の業務を簡略化し、生産性の向上を目指す改革のことである。
そして、近年DXが注目されている理由は、経済産業省が2018年9月にDXレポート 〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開〜 を発表したからである。
デジタルシステム「2025年の崖」
経済産業省のDXレポートによると、既存のデジタルシステムが老朽化・複雑化することにより、以下の問題点が挙げられる。
- 新技術を取り入れてもデータ活用が限定的となり、デジタル競争の敗者となる
- 既存システムの保守コストに人的資源を割かれ、技術的負債となる
- 保守運用者の減少によるセキュリティやデータ損失のリスクが増加する
行政や民間のシステムにレガシーシステム(老朽化・複雑化し、ブラックボックス化したシステム)が残ることにより、新たなデジタル技術を取り入れたとしても、新技術の活用が限定的となり、DXを完全に実現することができないため、市場の変化に対応した柔軟なデジなる活用が困難になる(デジタル競争の敗者となる)。
また、複雑化・ブラックボックス化したレガシーシステム維持のために、多くのIT関連技術者を割かれ、IT技術者の人的リソーセスが不足するとともに、セキュリティやデータ損失のリスクが増大する。
これらの課題が克服できずに、DXが実現できなかった場合、2025年以降、最大12兆円/年(現在のおよそ3倍の規模)の経済損失が発生すると経済産業省が報告している。
DX実現に向けて
DX実現に向けてのプランとして、まずはレガシーシステムを見える化し、廃棄・刷新が必要なものを見直し、各業種ごとにレガシーシステムの刷新を経営の最重要課題としてDX実現を目指す。
デジタルシステムのユーザーはDX実現の中で、レガシーシステムの管理に割いていた人員を新たなデジタル技術分野に投資することで、新ビジネスの創出を目指す。
一方、ベンダーは従来の受託型のビジネスモデルから、クラウドを用いてサービス提供型のビジネスモデルへの転換を図ることで、管理コストの削減と開発の加速化を目指す。
2日連続ストップ高、そして…
KYCOMホールディングス <9685>は、2019年11月では時価総額20億円程度であったが、2019年12月3日、12月4日に連続ストップ高を記録したことで、2019年12月20日現在では、時価総額25億円程度に成長している。
引用元:Yahooファイナンスアプリ
12月2日の終値は408円であったが、12月3日にはストップ高の488円まで株価が上昇し、そのまま大引けとなった。
翌日の12月3日は、取引開始早々にストップ高である568円まで株価が上昇したが、その後は緩やかに減少して505円で大引けとなった。
その後の株価は500円前後で推移し続け、2019年12月20日現在では、484円となっている。
筆者は、過去に自身の保有していたキャッシュレス銘柄(アクリート <4396>)がストップ高を記録した際に、株価の上昇につられて買い増しをしたことで、その後の株価の減少に耐えられずに含み損に転じ、泣く泣く損切りしたという辛い過去を持つ。
しかし、今回はストップ高につられた高値掴みをしなかったため、株価が落ち着いた水準にある現在(2019年12月20日)でも含み損にならずに、余裕を持ってホールドできている。

今後は、経済産業省のDX推進計画の進捗を見ながら売却タイミングを決めようと思う。
まとめ
経済産業省が推し進めるDX関連銘柄であるKYCOMホールディングス <9685>の事業概要と、DXについて調査した。
DXとは、従来の老朽化したデジタルシステムを最新のデジタル技術に置き換えることで、行政・企業における業務の効率化を目指す動きである。
官公庁・自治体および民間企業にデジタルシステムを提供するKYCOMホールディングスはDX関連銘柄として、2019年12月3日、12月4日にストップ高を記録した。
ストップ高につられて買い増しをしなかったため、株価が落ち着いた現在(2019年12月20日)でも含み損に転じることなく、余裕を持ってホールドできている。
今後はDX計画の進捗を見ながら売却タイミングを見極めようと思う。
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