配当狙いの銘柄選定は間違っている?

投資哲学

配当とは企業が利益の一部を株主に還元することである。

企業は株主のものであるため、株主への利益還元は企業の果たすべき使命と言える。

しかし、株主(投資家)の立場に立った時、配当狙いの銘柄選定は正しい判断であるのかは検討の余地がある。

結論から述べると、配当を受け取ることにより税金が発生するため、投資による資産形成を目的とする場合は、配当を出す企業の株を購入するよりも、配当を出さずに利益を全て再投資してさらに利益を拡大する企業の株を購入するべきである。

ただ、この理論には、企業が利益を効率よく使用して利益拡大を図ることができるという前提が存在し、投資家はこのような優良企業を見極めることができることが必要である。

この記事では配当狙いの銘柄選定は間違っているのかを考えてみる。

そもそも配当とは

企業が利益の一部を企業の所有者である株主に還元することである。

日本の企業の配当利回りは2019年11月1日現在では松井証券 <8628>の9.33%トップである。

野村アセットマネージメントが運用する日経平均採用銘柄の高配当50銘柄から構成されるETF、日経平均高配当株50 <1489>の配当利回りが4%前後であるため、4%あたりが日本株の配当利回りの目安になると言える。

ちなみに、配当利回りとは投資資金に対する配当金の割合であり、配当利回り4%の場合、100万円の投資資金に対して1年間で4万円の配当金を受け取ることになる。

配当を受け取るメリット

不労所得を得ることができる

配当金は不労所得である。

配当金を得る資格は配当を出す企業の株式を保有していることのみである。

投資家は銘柄選定の手間と株式の購入代金支払うのみで配当金を受け取ることができる。

給与収入などの労働収入とは異なり、寝ているだけで得られることができる収入、つまり不労所得である。

配当を出す企業の株式を億単位で所有することにより、年間数百万円以上の配当金を得ることが可能であり、この不労所得だけで生活することもできる。

また、給与収入以外の収入があることで心にゆとりが生まれるというメリットもある。

先行きのわからない現代社会において、減給や解雇などの可能性がないとは言い切れない。

しかし、ある程度の不労所得がある場合、仕事がなくても数ヶ月は生活することができるかもしれない。

収入源を勤め先の企業だけに依存しないことはリスクヘッジという面で重要である。

配当金を再投資することで複利効果が得られる

得られた配当金を再び投資することで複利効果が得られ、資産形成のスピードを加速させることができる。

配当利回り4%の投資先に100万円投資し、年間4万円のリターンを得ることができても、得られた4万円を再投資しなければ毎年100万円の4%にあたる4万円のリターンが得られるだけで、単利の効果しか得られない。

しかし、配当金として得られた4万を再投資した場合、次の年は104万円の4%にあたる4.16万円を得ることができる。

さらに次の年は108.16万円の4%にあたる4.33万円、その次の年は4.5万円のようにお金がお金を生み出す複利効果が得られ、資産形成のスピードを加速させることができる。

配当を受け取るデメリット

配当金には税金がかかる

配当金を受け取る際には20.315%の税金が発生する。

内訳は、所得税15%、復興特区別所得税0.315%、住民税5%である。

配当金を受け取るたびに税金を払っていては、たとえ配当金を再投資して複利効果を得ようとしてもその効果を最大限に活用することが難しくなる。

世界一の投資家と言われているウォーレン・バフェットは配当を出す企業を好まず、自身の経営するバークシャー・ハサウェイも無配当を貫いている。

企業は利益を配当金として株主に還元して税金が発生するよりも、無配当を貫いて得られた利益は全て企業の成長に投資することで利益を拡大し、投資家は企業の成長による株価の上昇から利益を得たほうが効率よく資産を拡大できるという理論からである。

配当狙いの銘柄選定は間違っているのか?

では、配当狙いの銘柄選定は間違っていると言えるのだろうか?

答えはNoである。

先の項目で述べたウォーレン・バフェットの理論は正しい。

しかし、この理論の前提には企業が自社の利益を効率よく企業の利益拡大に使用することができるという前提があり、投資家はこのような優良企業を見極めて投資をしなければいけない。

では、筆者のように優良企業を見極める能力に乏しい投資家はどうすれば良いのか?

方法は3つある。

税金を受け入れて配当銘柄に投資

1つ目の方法は配当金にかかる税金を受け入れることである。

配当金にかかる税金はもったいないように感じるが、税引後の配当金を再投資することでも十分に複利効果を得ることができるし、配当金という不労所得を得ることにより心の平穏を得ることができるというメリットは存在する。

また、配当金の税率は20.315%だと述べたが、これは厳密には誤りであり、確定申告の方法によっては20.315%より少なくて済むが場合がある。

配当金を給与所得とは別で計算する分離課税においては、一律20.315%で源泉徴収されるが、給与収入と合わせて源泉徴収される総合課税を選択すると、給与収入と配当金収入を合わせた課税所得の税率が20.315%以下である場合は、配当金にもその税率が適用されるため、20.315%よりも安くなる。

DRIP制度を利用

2つ目の方法としてDRIP(Dividend Reinvestment Plan)制度を利用することである。

DRIPとは受け取るはずであった配当金を再投資に回すことで、配当金を受け取る際に支払うはずであった税金を節約することができ、複利効果を最大限に活用することができる。

DRIP制度は米国では一般的であるが、日本ではサクソバンクでのみ使用可能である。

しかし、サクソバンクでは特定口座に対応していないため、確定申告の手間が発生するというデメリットが生じる。

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もちろんFirstradeのような日本人でも口座開設可能な海外証券口座を開設してDRIP制度の恩恵を受けることは可能であるが、特定口座に対応していないため確定申告が手間であることや、損失の繰越控除が適用されないとうデメリットがある。

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バークシャー・ハサウェイに投資

三つ目の方法は、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイに投資することである。

先に述べたようにバークシャー・ハサウェイは無配当を貫いており、企業の利益を全て利益拡大のための投資に使用しているため、配当金にかかる税金を節約することができる。

また、バークシャー・ハサウェイへの投資はSBI証券や楽天証券などの米国株への投資が可能な証券口座を持ってさえいれば、日本人でも投資可能である。

しかし、ウォーレン・バフェットはまだまだ現役であるとは言っても、2019年11月3日現在で89歳である。

ウォーレン・バフェットがいなくなった後のバークシャー・ハサウェイが今まで通りのパフォーマンスを発揮できるのかどうかは、誰にもわからない。

まとめ

この記事では配当狙いの銘柄選定は間違っているのかを、配当金を受け取ることのメリット・デメリットを整理して考えた。

企業は利益を配当金として株主(投資家)に還元せずに、その利益を再投資してさらなる利益拡大に勤めることで、配当金にからる税金を節約することができ、企業も投資家も最大限に利益を上げることができる。

しかし、この理論には企業は利益を効率よく再投資して利益の拡大を図ることができ、投資家は優良な企業を見分けることができるという前提がある。

配当金に税金がかかったとしても、配当金を再投資することで得られる複利効果は確実に得られるので、配当狙いでの銘柄選定が間違っているという主張は必ずしも正しくない。

キャピタルゲインとインカムゲイン(配当収入)どちらを重視するかは投資スタイルにより異なる。

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