超長期米国債ETF(TLT)と日本円!株価暴落時向けて保有すべきはどっちか検証してみた

投資全般

以前、最強の投資法として株価暴落時の円高時にドルを購入してS&P500に連動するインデックスファンドに投資して、景気回復によりキャピタルゲインを得る手法を紹介した。

【最強の投資法】金融恐慌が来たら米国株を買え
最強の投資法とは誰が行っても容易に莫大なリターンを得ることができるという意味である。方法は金融恐慌時に米国株を仕込んでおき、景気回復を待てば良いだけである。金融恐慌時は安定資産の円が買われるため円高になり、米国株も暴落しているため大...

しかし、過去のチャートを見るとTLT・EDVのような超長期米国債ETFも日本円のように株価暴落時に価格が上昇する傾向にある。

そこで、この記事では株価暴落時の備えとして、超長期米国債ETFと日本円、どちらが安定資産として優れているのかを、過去の事例(リーマンショック・チャイナショック・米中貿易摩擦)を参考に検討してみる。

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債券と株価の関係

一般的に債券価格と株価の値動きは負の相関関係があると言われている。

負の相関とは、債券価格が上昇すると、株価が減少し、債券価格が下落すると株価が上昇するということである。

以下にS&P500連動型ETFであるSPYと超長期米国債ETFであるTLTのチャートを示す。

SPYとTLTの比較
景気上昇局面においては企業の資金調達ニーズが高まり金利が上昇するとともに、企業への期待から株価が上昇する。

株価が上昇すると投資家の資金は債券市場から株式市場に流入して債券の価格が下落する。

しかし、株価の上昇がいつまでも続くわけではない。

金利が上昇することで企業の資金調達のコストが増加することで、企業の成長にブレーキがかかり、株価の上昇は徐々に緩やかになる。

株式投資によるリターンが期待できなくなると、投資家は株式市場から資金を引き上げ債券を購入する。これにより株価が下落し、債券価格が上昇する。

このような景気循環により株価・債券価格・金利は相互に影響しながら値動きを繰り返していく。

安定資産としての日本円

日本円は安定資産として認識されており、株価暴落局面において円が買われることにより円高になる傾向がある。この理由は以下の3つである。

  • 世界最大の対外純資産国であること
  • デフレ国家であること
  • 低金利であること

日本が保有している外国債券などの対外純資産額世界最大である。

そのため経済危機などの局面では投資家が資金を引き上げるために対外資産を売るため日本円の価値が上がる。

また、先進国で唯一日本はデフレが進んでいる。

物価が下がり続けることで、日本円は相対的に価値が上がることとなる。

さらに、マイナス金利政策により日本円は低金利である。

そのため普段は投資対象としての旨味がないため売られている傾向にあり、経済危機において円が買い戻されやすい状態にあると言える。

過去事例における検証

それでは、金融恐慌などの株価暴落局面への備えとして超長期米国債ETFと日本円、どちらを保有しておくべきなのか、過去の株価暴落局面のデータを用いて検討してみる。

検証条件を決定する前に、そもそも検証の目的を考えてみる。

筆者は株価暴落時にS&P500連動型ETFを割安に仕込み景気回復によりキャピタルゲインを得る狙いである。

そのため、株価暴落時に超長期米国債ETFの売却と日本円でのドルの購入、どちらがよりリターンが大きいかをドルで比較する。

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検証条件

投資資金は100万円として、以下のどちらがリターンが大きいかを検証する。

①株価暴落前に米ドル、超長期国債米国債ETFを購入し、株価暴落後のピークでETFを売却
②株価暴落後の円高時に米ドルを購入

2008年9月:リーマンショック

リーマンショック前後の米国株価(SPYで代用)・超長期米国債ETF(TLT)・ドル円為替相場を以下に示す。

リーマンショック前後チャート
①超長期米国債ETFを購入した場合のリターン、②日本円を保有していた場合のリターンをまとめると以下の表のようになる。

2008年5月 2008年12月 資産額(ドル)
ドル購入 TLT購入 ドル購入 TLT売却
①米国債ETF 106円/ドル
9,434ドル
85ドル/口
110口
122ドル/口
13,420ドル
13,420ドル
②日本円 89ドル/円
11,235ドル
11,235ドル

以上より、リーマンショックにおいては株価暴落前に①超長期米国債ETFを購入した場合のリターンの方が、②日本円を保有していた場合のリターンよりも、2,185ドル大きいことがわかった。

2015年6月:チャイナショック

チャイナショック前後の米国株価(SPYで代用)・超長期米国債ETF(TLT)・ドル円為替相場を以下に示す。

チャイナショック前後チャート
①超長期米国債ETFを購入した場合のリターン、②日本円を保有していた場合のリターンをまとめると以下の表のようになる。

2015年4月 2016年6月 資産額(ドル)
ドル購入 TLT購入 ドル購入 TLT売却
①米国債ETF 125円/ドル
8,000ドル
120ドル/口
67口
142ドル/口
9,514ドル
9,514ドル
②日本円 106ドル/円
9,804ドル
9,804ドル

以上より、チャイナショックにおいては株価暴落前に①超長期米国債ETFを購入した場合のリターンよりも、②日本円を保有していた場合のリターンの方が、290ドル大きいことがわかった。

2018年12月:米中貿易摩擦による株価暴落

米中貿易摩擦による株価暴落付近の米国株価(SPYで代用)・超長期米国債ETF(TLT)・ドル円為替相場を以下に示す。

米中貿易摩擦付近のチャート
①超長期米国債ETFを購入した場合のリターン、②日本円を保有していた場合のリターンをまとめると以下の表のようになる。

2018年10月 2019年9月 資産額(ドル)
ドル購入 TLT購入 ドル購入 TLT売却
①米国債ETF 114円/ドル
8,772ドル
112ドル/口
78口
145ドル/口
11,310ドル
11,310ドル
②日本円 106ドル/円
9,434ドル
9,434ドル

以上より、米中貿易摩擦による株価暴落においては株価暴落前に①超長期米国債ETFを購入した場合のリターンの方が、②日本円を保有していた場合のリターンよりも、1,876ドル大きいことがわかった。

結論

検証の結果より、①超長期米国債ETFを購入した場合のリターンの方が、②日本円を保有していた場合のリターンよりも大きい可能性が高いことがわかった。

ただし、今回の検証ではTLTの株価の底とピークを計算に用いているため実際のリターンはもう少し低くなるであろう。

また、購入時期によりリターンは前後する。

今回の検証ではドルの購入とTLTの購入を同時に行ったが、TLTが割安な時期は円安という傾向があるため、購入時期をずらし、円高の時期にドルを購入して、TLTが割安になったタイミングで購入しておけばさらにリターンが増えることになる。

2019年12月現在は、米中貿易摩擦による株価暴落から1年近くが過ぎ去り、市場には楽観ムードが漂っている。

S&P500も最高値を更新したことで、今後も株式市場に資金が流入する可能性が高いであろう。

そのため、円安に向かう前にドルを購入しておき、TLTが割安になったタイミングで購入しておくべきであろう。

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